生きた道具と死んだ道具

published at 2018.07.20 09:18

道具、という語が前回の観察で出てきた。私は道具に関心がある、ということをこれまで知らなかった。私のなかにある道具とはどのようなイメージか。

道具の性質
・一生を通じて利用者との関係を築く
・身体を拡張する
・使いこなすのに技術を要する

道具の具体例
・包丁(切る)
・カンナ(削る)
・ペン(書く、考える)
・コンピュータ(計算する)
・まな板(作業させる)
・鍋(加熱する)
・コーヒーカップ(おいしく飲む)
・ストップウォッチ(時を計る)
・眼鏡(はっきり見る)
・シャツ(着こなす)
・消化器(火を消す)
・下敷き(ペンを紙に埋めない)

なぜ私は道具に関心があるか。努力で使いこなせるようになるものだから。生まれ持った才能に依存するものを私は好まない。道具は、努力すれば使いこなせるようになる。意思でどうにかなるはずのものである。
身体の特徴は人によって違うが、その弱点を道具は補う。手法、方法、道具、そういうものは頼りになる、信頼できる、と思っている。

道具はデザイン的である。機能を突き詰めて設計されたものだから。機能美。

私は機能を拡張させることに関心があるのか。外れてはいないが、しっくりくるわけでもない。

機能とは動詞である。動いている。形容詞のように状態を表す静的なものではない。動くことは生きることだ。しかし、道具自体が生きているわけではない。あるいは、生きている道具というものがある。

道具には、生きた道具と死んだ道具がある。人が組織で働くとき、従業員は組織の道具である。役職、という形で彼らはデザインされる。道具の種類に応じて、異なる学問が用意された。社会科学は生きた道具を対象とし、工学は死んだ道具を対象としている。

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